2009年5月 4日 (月)

『黒い画集 あるサラリーマンの証言』(1960)

Pbbskuro01 今年は松本清張の生誕100年という事で、スカパーの邦画チャンネルでも特集が組まれていて、すでに何本かの映画が取り上げられています。

今回の日記に登場したのは、1960年に製作された上記のタイトル作品です。

監督:堀川弘通

出演者:
石野貞一郎:小林桂樹
その妻: 中北千枝子
梅谷千恵子(石野の愛人):原知佐子
杉山孝三(石野の近隣住人):織田政雄
その妻:菅井きん
岡崎弁護士:三津田健
刑事:西村晃
他に 児玉清
中村伸郎
中丸忠雄(被害者の夫)

中丸忠雄は先月23日にお亡くなりになりました。

ある会社の課長石野(小林桂樹)は幸せな家庭を持ち毎日まじめに働いているが、その反面、誰にも知られずに同じ課の女性事務員と愛人関係にあった。
ある日の退社後、その愛人のアパートに寄っての帰り、偶然に近所に住む杉山という男性とばったりと会ってすれ違いに軽くお辞儀をする。
翌日、新聞に新妻殺人事件の記事が大きく載って、昨夜すれ違った杉山が逮捕された。

犯行時間のころは、石野とすれ違ったころなので、無実を証明するためには、ただ石野が「会った」と証明してくれれば疑いは晴れるのだが、石野自身が愛人といたことで、「会ったことはない」と言ってしまう。

そこから石野と愛人、石野と妻、石野と逮捕された杉山らのそれぞれの立場上の葛藤、苦悩が描かれていきます。

同じ小林桂樹と新珠三千代で撮られた『女の中にいる他人』とどこか似ているようですが、こちらの映画は本当に殺人を犯しているのに対して、本題では何も犯罪は犯していないのに偽証することで苦悩するという、何ともやりきれない人間を描いています。

《解説ページ》
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD22929/

《松本清張》のWikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E6%9C%AC%E6%B8%85%E5%BC%B5

《松本清張記念館》
http://www.kid.ne.jp/seicho/html/

| | コメント (2)

2009年2月 4日 (水)

藤城清治の影絵

Pbbsfuji01 藤城清治という人、知っていますか?

影絵作家で、童話とかステンドグラスとかで作品は一度は見ていると思いますが、スカパーの《日本映画専門チャンネル》で、2月1日午前8時から昼ごろまで影絵の映画とか作者本人を取材したドキュメンタリー番組が特集されたので録画しておきました。

放送されたのは
『ブレーメンのおんがくたい』
『スカンクカンクプー』
『海に落ちたピアノ』
『銀河鉄道の夜』
『つるの恩がえし』
『泣いた赤鬼』

以前、NHK総合で放送された作者本人を取材した『影絵作家 藤城清治の世界』(50分)でした。

作品自体は30分程度のが多くて、各登場人物のセリフはなく、ダークダックスの歌による進行で、子供にも分かるようになっていました。(全部はまだ見ていませんが)

しかし、やはり僕の絵と全然ちがいますね。(爆)
絵、色使い、構成、、、などなど、全部が全部、吸収したいことだらけです。
作者の作品を集めた美術館もあるんですが、一度、行ってみたいですね。

この2月は、今後1作品づつ、ばらばらで放映されるので、見たい人はご覧になればどうでしょうか。

http://www.kageenomori.jp/fujishiro/index.html

上の絵は、ちょっと真似てみたんですが、、、(笑)

| | コメント (2)

2008年8月31日 (日)

『やがて青空』(1955)

Pahb01 今回の邦画、『やがて青空』を取り上げました。

1955年度製作だと、ちょうど昭和30年になった年で、その頃の生活観がよく出ている作品だと思います。

女子学園の教務主任の飛田真平の家で繰り広げられる生活が生き生きと描かれたホーム・コメディと言えばいいでしょうか。

出演は、飛田真平(斉藤達雄55歳)
妻:飛田こと(沢村貞子47歳)
出版会社に勤める長女:飛田いづみ(桂木洋子25歳)
高校生:長男:太刀川洋一(年齢不詳)
小学生:飛田トモ子(松島トモ子10歳)
飛田やす(浪花千栄子48歳)
岩谷鉄夫(小林桂樹32歳)などです。
力道山(31歳)も、少しだけ本人役で登場します。
年齢は撮影時の年です。

映画での家族構成は、まんが『サザエさん』の磯野家と同じで、夫婦に長女、長男、次女です。
お祖母さんは九州から縁談をもってやってきます。
まだ、マスオさんがいない時という感じです。
下記のページに詳しい解説がありますが、ちょっと誤字を見つけました。
出演者の桂木津子となっているのは、桂木洋子で、故黛敏郎の夫人でしたが、惜しくも昨年3月に亡くなりました。

松島トモ子、10歳でマンボが好きで、歌詞は子供向けなんですがメロディがマンボで歌って踊るところが、一人ミュージカルしているところが抜群に面白くて、他の役を食ってしまっています。(笑)

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD24584/comment.html

このページにはテレビ番組を脚色して映画化されたようになっているんですが、何と言う題名だったんでしょうね。

浪花千栄子がまだ48歳ですが、すごいお婆さん役で登場しますが、今の時代で80歳でももっと若く見える人がいますが、あの当時は70歳くらいの人の格好だったんでしょうかね。

上の絵は、飛田いづみが電話をかけるときに出した手帳を電話台に置き忘れて、後で岩谷が持ち主に返すことになる重要な小道具です。

| | コメント (13)

2008年6月26日 (木)

『いとはん物語』(1957)

Pbbsito01ag 伊藤大輔監督カラー作品。、出演者は鶴田浩二(33)、京マチ子(33)、小野道子(23)、東山千栄子(67)、浦辺粂子(55)、加東大介(46)など。
数字はその年の年齢ですが、鶴田浩二と京マチ子は同年生まれでした。、小野道子で検索したら、何と長谷川一夫の実の娘でした。

時代は大正、場所は大阪の西長堀というと、今は地下鉄《西長堀駅》の駅名が残っているがこの付近は今でも家具問屋が多くあります。
舞台は扇を売る老舗店で、3人姉妹の長女お嘉津(京マチ子)は心は純粋でも顔が不細工なので将来も結婚出来ないのではと家中の者が心配している。
祭りのときにお稲荷さんにお参りに行ったとき、近所の男連中に顔の不細工を笑われて、店の番頭友七(鶴田浩二)に助けられてから、段々と友七が好きになっていく。

しかし友七には店の家の方の手伝いをするお八重という女中(小野道子)がいて愛し合う中だったが、そうとも知らず、お嘉津の母おわさ(東山千栄子)が友七との結婚を勧めると結婚なんか一生出来ないと諦めていたお嘉津は嬉しい気持ちがいっぱいで毎日ウキウキして暮らしていた。

この映画で京マチ子は顔が不細工に見えるように、わざわざ義歯を入れて乱くい歯にしているのも見所の一つ。、良家で何不自由なく育てられ、自分の顔以外不満がない娘を上手に演じていました。

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD25141/index.html

やはり時代が大正ということもあってか、どことなく昭和の風景とは少し違います。、女友達が新婚旅行で箱根に行って、そこからもらった富士山の絵葉書からお嘉津と友七の2人が歩いている夢を見ているシーンは、まだあちこち開発されずに残っている古き良き時代の富士山が見られるということで、見ている観客までタイムトンネルに乗って時代を当時に戻ったみたいにさせてくれる見ごたえのあるシーンで、音楽もエンニオ・モリコーネが作曲したような雰囲気のメロディーが良いです。

| | コメント (4)

2008年5月20日 (火)

『按摩と女』(1938)

Pbbsanma01 1938年度、清水宏監督の白黒映画。、上映時間は1時間12分前後の中編。

出演者
三沢美千穂 ..............  高峰三枝子
徳市 ....................  徳大寺伸
福市 ....................  日守新一
研一 ....................  爆弾小僧
大村真太郎 ..............  佐分利信
鯨や主人 ................  坂本武
ハイキングの学生 ........  近衛敏明

1938年と言うと高峰三枝子が20歳、佐分利信が29歳のときの映画である。

上記の出演者で徳大寺伸は1月にアップした『姿なき目撃者』(1955)のカメラマンの子供が隣家の2階のタンクの中からマダムとその愛人の密会現場を撮られる男役で、この映画の役からすると今回の作品の役は似ても似つかない盲目の按摩師を演じている。、年齢不詳ですが高峰三枝子と同じぐらいの20前後の頃でしょうか。

ハイキングの男子学生4人組の一人近衛敏明も、2月にアップした『暁の合唱』(1941)のバス会社社長の弟役だった俳優です。

《物語》
盲目の按摩師、徳市(徳大寺伸)と福市(日守新一)が若葉の茂る季節になると山奥の温泉地に按摩の仕事をしに長期滞在することになっている。
徳市は温泉宿で働いているお菊に恋心を抱いていて、ここに来るのにみんなに内緒でお土産を渡すほどになっている。

温泉宿に、馬車に揺られて東京から三原実千代(高峰三枝子)という謎の女が泊まりに来て徳市が按摩をすることになった。
その女がまだ若いと知った徳市は、その女にも少しだけ引かれるものを感じていた。
同じ馬車に乗っていた大村真太郎(佐分利信)も甥の子供を連れて別の旅館に泊まりに来た。
三原美千代はその子供が川で魚釣りをしているのを見て、親しくなり自分の部屋に上げたりして大村と知り合いになる。
三原美千代が行くところで、いつも旅館の泊まり客にお金とか物品が盗まれるという事件が起こる。

いつしか目の見えない徳市は三原美千代が怪しいとにらむが、警察が温泉宿をくまなく捜すというのでその女をかくまうが、、、

この作品は、目が見えないのに見えているような台詞が、映画のあちこちに出てきて、役者としては、熱心に演じれば演じるほどおかしくなって笑ってしまうのではないかと一人で思ってしまいました。

先に見た『姿なき目撃者』のマダムの愛人役で「嫌な俳優だな」と思っていたんですが、盲目でありながら道を歩くにもスイスイと人を追い抜かして歩いたり、近くを通る人物が誰か分かるとかの役どころを上手く演じていて演技賞ものです。

『按摩と女』関連のHP
http://www.jmdb.ne.jp/1938/bn002560.htm

http://intro.ne.jp/contents/2005/09/14_0954.html

今月24日から『按摩と女』のリメーク版が公開されるようです。
『山のあなた、徳市の恋』
出演:草彅剛/加瀬亮/マイコ/堤真一/広田亮平/三浦友和/堤 真一
http://www.cineamuse.co.jp/cinema/index.php?cinema_id=480

| | コメント (6)

2008年3月18日 (火)

『サラリーマンの歌』(1953)

Pbbssara01a 杉江敏男監督の白黒作品。

出演者は佐野周二、角梨枝子、岡田茉莉子、小林桂樹、小泉博、菅井一郎、英百合子など。

昭和6年の小津安二郎が監督した『東京の合唱』の再映画化だそうですが、1953年は終戦から8年ぐらい経って朝鮮戦争で日本は景気が良くなっていく時期ですが、それでもまだまだ人々は職を探さなければならな時期だったようですね。
それが、2008年になっても一向に変わらなく続いている状況でもありますが。

証券会社で脱税事務をさせられている安西修吉(佐野周二)は、お得意先との夜の宴会で社長から怒鳴られて、つい「会社を辞めます」と言ってしまった。
アパートに帰って妻に「会社を辞めてしまった」と言えなかった修吉は、それから毎朝、出社するように出て夜に帰る生活を繰り返す。
学生当時の友人を当てにして仕事をもらってくることぐらいしか仕事はないが、ある日、職安の外で故郷盛岡の学校の恩師に出会って、一時、その恩師が経営するカレー店の手伝いをするが、恩師の助けもあり、また故郷の盛岡に戻って学校の英語の先生をするというその過程を描いています。

この作品で安西修吉一家が住むところはアパートとなっていますが、その後出現する団地の原型でしょうか。、風呂場とかトイレ、お風呂などはシーンに全然出てきませんでしたが、1953年のアパートというのは、どんな様式だったかも見てみたかったです。

小津安二郎の『東京の合唱』も録画していて見たようにも思うんですが、後で見比べようと思います。
こちらの出演者は岡田時彦、高峰秀子、斉藤達雄などがいて、岡田時彦というと『サラリーマンの歌』の方で出ている岡田茉莉子の実父ですよね。、親子が繋がっていると思うと見る視点も増えますね。(笑)

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD23819/index.html

1953年当時、佐野周二は41歳、角梨枝子25歳、小泉博27歳、岡田茉莉子20歳、菅井一郎46歳という若々しさです。

角梨枝子、今なら中島みゆきそっくりです。

| | コメント (4)

2008年3月 7日 (金)

『女の四季』(1950)

Pbbsonna01a 丹羽文雄原作の『貸間のなさけ』、豊田四郎監督の白黒映画。
出演者は、
境萬亀:若山セツ子
貸家のおその:杉村春子
水島明一:池部良
明一の母:東山千栄子
画家:薄田研二
画家の夫人:荒木道子
旅行者の職員徳永:藤原釜足
徳永の妻:赤木蘭子
ほか。

《作品の解説ページ》
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD27080/

《あらすじ》
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD27080/story.html

終戦後、だんだんと日本が復興してくるころの時代で、この作品でも主人公の境萬亀(若山セツ子)が外地から帰ってきて一人で就職をして生活をするという物語です。

若山セツ子の作品では印象に残るのは、原節子、池部良などの『若い山脈』で丸いメガネをかけて、まだ中学生のように見えた女学生のときが19歳で、今回の作品は21歳で、はつらつとした若さを発揮しています。

杉村春子は、この時45歳ですが、腰が曲がって70歳ぐらいの貸家の婆さん役で、「えげつない」というか「ずうずうしい」という役を演じていました。

池部良は、この作品のときは32歳でキャバレーの壁面に絵を描く役で、他のシーンには出てきませんでした。

藤原釜足は杉村春子と同年で、旅行者の職員の役で面倒見がよくて、境萬亀を採用したり下宿先の世話をします。

今回の上の絵は、境萬亀がもう底が外れてしまった靴を職場で働く時に、ワンカット映るんですが、それをイメージしてみました。

この作品でおそのを演じたのは杉村春子ですが、三好栄子で演じてもぴったりくるんじゃないかと思いました。

| | コメント (2)

2008年2月24日 (日)

『朝の並木道』(1938)

Pbbsasa01a 成瀬巳喜男監督の1938年の白黒映画、もちろんもうトーキーです。

出演者
千代:千葉早智子
小川:大川平八郎
久子(茂代):赤木蘭子
マダム:清川玉枝
房子:清川虹子
伊達里子
夏目初子
御橋 元
三島雅夫ほか

田舎に住んでいる千代(千葉早智子)は、東京で働きたいと決心して友人を頼って一人、東京に出る。

その友人・久子(赤木蘭子)の住んでいる住所をやっと探し当てたが、話に聞いているのと違って、今で言うバーの《カフエ》で、久子は故郷にはいいところで働いていると伝えていたのだった。

久しぶりに会ったが、久子の勤めているカフエのマダムとか女給たちはみんないい人ばかりで、千代を快く泊めてくれることになった。

そこから毎日、新聞の求人広告を見て面接に行くことにしたが、なかなか思うような会社がなく、マダムの店でアルバイトをしながら求職するという状態になった。

カフエには常連客の小川(大川平八郎)という男性が来るが、千代が担当になり段々と久しくなっていく過程を描いています。


この作品を監督した成瀬巳喜男は前年、この千葉早智子と結婚して3年で別れたようです。
先日、アップしたサラリーマンの小林桂樹が友人の妻を殺してしまうという『女の中にいる他人』も、成瀬監督作品です。

出演者の中に、清川虹子と清川玉枝という同じ清川が2人もいるんですが、血縁関係なんでしょうか、姉妹ではなさそうですよね。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%90%E7%80%AC%E5%B7%B3%E5%96%9C%E7%94%B7

| | コメント (5)

2008年2月16日 (土)

『彼岸花』(1958)

Pbbshigan01a 小津安二郎監督作品で『秋日和』(1960)より2年前の1958年度のカラー作品。

出演は佐分利信、田中絹代、有馬稲子、笠智衆、佐田啓二、桑野みゆき、浪花千栄子、山本富士子などそうそうたる顔ぶれ。
このほか、これまでに日記にアップした中では『女の中にいる他人』の小林桂樹の母親役の長岡輝子、同じく勤務先の社長役の十朱幸雄などもいます。

大会社の重役として勤める平山渉(わたる)(佐分利信)は2人の娘がいるが、中学からの同級生たちも結婚を迎える時期に来ていた。
友人の結婚式に出席して、そろそろ自分の長女・節子(有馬稲子)の縁談も決めなければならなかったが、娘には決まった人がいたが、まだ両親には紹介していなかった。
ある日、平山の会社に谷口(佐田啓二)という男がやって来た。、その男は転勤になるので、その場でいきなり「お嬢さんと結婚をしたい」と伝えた。
平山は節子に恋人がいないと思っていたので、驚いて「即座には返事は出来ない」と言って帰ってもらった。
家に帰ると、妻(田中絹代)と二人して驚いていたが、節子が会社から帰ってくると、平山は娘に問いただした。
節子は「自分の結婚は自分で決める」と言って、谷口のいるアパートに飛び出した。
谷口の部屋に来た節子は、「準備を整えてから親に知らせようと思ったのに、なぜ、いきなり父親の会社に行ったの?」と怒った。
谷口は「遅く言おうと早く言おうと、結果は同じだ。、大事なのは君の心しだいだ」と言った。
そこから両親と娘、友人と家出したその娘の仲裁、京都の旅館の母親と娘など、いろんな付き合いから出てくる関係を平山を通して描いていきます。

佐分利信、田中絹代、どちらも49歳のときです。
この当時の50歳前後というのは、今の60歳ぐらいの歳に見えてきます。
今の50歳と言っても、みんなそんなに老け顔じゃないですよね。
その時代の人は、みんなそんな顔だったんですね。

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD25874/story.html

| | コメント (2)

2008年2月10日 (日)

『暁の合唱』(1941)

Pbbsaka01a

石坂洋次郎原作、清水宏監督白黒作品。
出演者は木暮実千代、佐分利信、川崎弘子、近衛敏明、坂本武、吉川満子など。

高等女学校を卒業して専門学校進学の入学テストを受けている最中に街で見かけたバス会社の求人広告の看板を見て飛び込みで面接を受け、そのバス会社に就職して車掌さんから運転手にまでなってしまう斎村朋子(木暮実千代)の物語である。

1941年というと以前去年の9月にアップした高峰秀子の『秀子の車掌さん』も同じ年に製作されているようですが、バスの車掌というとまだ女性の花形職場であったと思われるころに運転手にまでなりたいと思って運転手になるというのはすごく進歩した考えの持ち主に描かれています。

この原作は石坂洋次郎ですが、映画の随所に面白いセリフが出てくるんですが、その中で斎村朋子が車掌に成り立ての初めての仕事場でのセリフです。

朋子:「え~っと、何て言うんだっけな。」
「あ、そうそう。、お待たせいたしました。、込み合いますから順に中程に」
運転手:「まだ、混んではしないよ」
朋子:「じゃ、ごゆっくりお掛けください。」
運転手:「遠くへお出での方はなるべく奥、近くへお出での方はなるべく前」
朋子:「あの~、遠くへいらっしゃる方はどなたでしょうか?」
運転手:「そんな事、いちいち聞かないで言えばいいんだよ」
朋子:「遠くへお出での方はなるべく奥、近くへお出での方はなるべく前」

また同じバス内での会話
朋子:「もしもし?、居眠りしてると乗り越しますよ」
「なるべく居眠りしないでください」
運転手:「余計なこと、言うんじゃない」
朋子:「だって、あの人、さっきから居眠りばかりしてるんですもの」
運転手:「そりゃ、きっと気持ちがいいからなんだ」
「降りるとこ来れば起こしてやりゃいいんだ」
「それぐらいの親切がなくっちゃ」
朋子:「じゃ、居眠りなさりたい方があれば、どうぞごゆっくり居眠りください」
「降りるとこ来ればお起こしますから」
運転手:「余計なこと、言うんじゃないよ」
朋子:「すみません」
運転手:「いちいち謝らなくていいんだ」

バスにお嫁さん一行が乗ってきてお嫁さんがおにぎり3つも食べてしまうところや、道路沿いの溝に落ちてしまって乗客やお嫁さんまでが後ろから押してバスを動かすシーンや、飯田蝶子のお金を持っているのに、わざと足らない小銭の料金しか払わないで行こうとする場面や、弟が朋子の病院にぼた餅を届けにいって隣の三郎の病室にもおすそ分けに持って入るときに何も言わずに黙ってただ朋子の言うように深ぶかとお辞儀をして出て行くところなんかおかしくて笑ってしまうシーンがあったり、映画のタイトル『暁の合唱』というので、合唱団の映画かなと勘違いしてしまうようですが全然違い、なかなか面白い見ごたえのある映画でした。

1941年というと木暮実千代23歳、佐分利信32歳、飯田蝶子44歳。

『秀子の車掌さん』の高峰秀子が17歳の時代です。
このとき、既に飯田蝶子はもうお婆さん役になっていますね。

| | コメント (2)

«『女の中にいる他人』(1966)